純異性交遊



「ゼロ、クレジットカード 借りるぞ。」
「……またピザか。いい加減にしろ、今日だけで何回目だと思ってる。」
「まだ3回目だ。」
「まだじゃない、もう3回目だろう。食べ過ぎだ。」
「……こ五月蠅い奴だな。いいじゃないか、ピザの3枚や4枚や5枚ぐらい。」
「っ、5枚は勘弁しろ5枚は! いいか、今日はもうこれっきりだぞ。
ついでに1週間は1日2枚までだ。いいな?」
「けちくさい……。2枚では飢え死にしてしまうだろう!!」
「銃で頭撃ち抜かれても死なない女が何を言っている!そんな事でお前が死ぬわけ無いだろう!」
「ちっ……ああ言えばこう言う…。お前は本当に嫌な奴だな。」
「お前にだけは言われたくないな。……それに、私は心配しているんだ。」
「何をだ、カードの残高か?それとも部屋の匂いか?妹からのイメージか?」
「それもあるが……その、体型とか……腐っても女だろう、少しは気にしたらどうだ。」
「大丈夫だ、お前には一切迷惑をかけはしない。」
「かけているだろうが、カードの残高とか部屋の匂いとかイメージとか!」
「……私は太ったりしない。」
「確かにな、お前は死にはしない。だからといって太らないわけではないだろう。
その証拠に最近やけにベッドが狭い。」


がしゃん。
なにかが割れる音がした。


C.C.がピザをせがむ発言から始まり、
頭を撃ち抜かれても死なないって何だよ?とか
残高そんなにやばいの?とか妹のイメージ?部屋の匂い?等、
様々なツッコみどころのあるコントのようなやりとりを
今ではもうすっかり日常のこととして聞き流していた騎士団の面々。

だが、今回はさすがに聞き流すことのないコメントが出てきた。

特に、ゼロを敬愛している零番隊隊長のカレンにとっては。

玉城は「やっぱり愛人だったんじゃねーか!」と下卑た事を言っているが、
言った直後カレンに見事な肘鉄を食らった。


「……ゼロ。C.C.と 同じベッドで寝てるんですか。」


どこかカタコトになりながらカレンは顔を引きつらせて尋ねる。

その様子を見て、カレンの肘鉄によって気絶してしまった玉城以外はカレンと
同じような顔でゼロの方を見た。

そんな面々に対し、ゼロは特別焦ることもなく、あっさりとそれを肯定した。


「ああ。こいつが来たばかりの頃は男は床で寝ろとか言われてベッドは占領されていたんだがな。
よく考えてみれば元々私のものだしこいつが一緒にいるからと言って何も問題無いと判断して
今は…一緒に寝ているという事になるか。」


問題、無いんですか。


仮にもC.C.は女で、ゼロは 男(だと思われる)だ。

そこで問題ないと判断できるゼロはある意味ではすごいと思う。


C.C.とゼロが同じベッドで寝ているという事実をあっさり肯定され、
カレンなんかはもう半分 涙目になってしまっているし、ディートハルトはというと
なにやらいらぬ妄想までしているらしく、なんとも締りのない顔になっている。
井上はカレンを慰め、他の者はというと皆、さっきよりも引きつった顔で
乾いた笑いを漏らしていた。

そんな周りの異常な雰囲気に気がついたのか、ゼロは「なにか?」と首を傾げる。


「いや…その、さすがに男女が同じベッドで寝て居るとなると…その…
無問題というわけにはいかないんじゃないのか?ほら、C.C.だって年頃の…。」
と。杉山が言葉を濁しながら答える。


「年頃…か。こいつが年頃だろうと関係ないが、確かに問題はあったな。」
「……だろ?」


関係ない発言はとりあえずスルーしよう。
聞かなかったことにしよう。

それより今は問題があったことを自覚してくれた事に感謝しよう。


「元々1人分のベッドだったから2人で寝るには狭い。
そして何よりこいつが運動不足の上食べ過ぎで太ったせいでさらに狭くなったな。」


そういう問題じゃない。

C.C.は「うるさいな、だったらお前が床で寝れば済むコトだろう」などと言っているが
そういう問題じゃない。


やっと泣きやんだカレンが後から、ゼロに対して床で寝ろ宣言をしたC.C.に対して
文句を言ったのは言うまでもない。

そして、玉城の中でゼロとC.C.の愛人関係が勝手に決定づけられたのも言うまでもない。



[end]





[2015.09.28 加筆修正]
再掲載にあたってタイトル変更しました。
(変更前【C.C.がピザを食べすぎてベッドが狭いと言う話】 →後【純異性交遊】)
正直なところ変更前のタイトルを覚えておりません。笑

一期は騎士団ものが多いですね。微笑ましいです。