その懐かしく愛しい声に、驚きと同時に悲しさを覚えた。



永遠に。




『お兄様! ナナリーです!』


携帯電話越しに電波に載せられて届けられる愛らしい声。

それは間違いなく、ルルーシュの最愛の実妹の声。
引き離された。自分の中の彼女を消された。
―奪われた。ブリタニアに、再び。

その声が今、電話越しに自分の元へ届けられている。


「……っ……」


答えたい。伝えたい。

そうだ、俺は君の兄だと。君の兄の、ルルーシュだと。
いつでも君を想っていると、離れていてもそれは変わらないと、伝えたい。


けれど。


「……」
『おにい…さま……? 聞こえていないんですか? 私です、ナナリーです!』


返事をしない自分に、それでもなお声を届けようとする。

それに対して答えられない自分がもどかしく、同時に悔しくて憎かった。


何も言わずに携帯電話を持つ手を耳から離す。

遠ざかる声に何か寂しいようなものを感じながら後ろで厳しい顔をして立つ
スザクにその携帯を手渡し、作り笑いを浮かべて。


「何の冗談だよ、スザク。俺が総督になるような人と、話すような事があるわけ
ないじゃないか。…相手も困ってしまうだろ」
「……そうだね。ごめん」


ふ、と微かに笑ってそう言いながら、スザクは電話を切った。

最後の言葉はルルーシュと、同時に電話の相手へと伝えられている。


「…そうだ。君は、彼女と話せるような人じゃなくなったんだよね。
一年前のあの日、すべてをうしなったあの日に」
「……っ」


その時スザクの浮かべた満足げな笑顔。

それの意味するものに、ルルーシュは腹の底からわき上がる熱い感情を
必死に押さえ込んだ。


***


「お兄様……どうしたんでしょう。返事もしてくださらないだなんて……」

私とは会いたくないのでしょうか、話したくないと思われてしまったのでしょうか。


悲しげに俯いて涙を堪える少女の姿に、その側に寄りそう騎士は瞳を伏せ、眉を顰めた。
苛立ちや怒りのようなものを込めたものではない。


「殿下……」
「…ナナリー、でいいです。二人の時は名前で呼んでくださいって、言ったでしょう?」
「そうだな。すまない、ナナリー」
「……エリア11…また、お兄様に会えるでしょうか……」
「ルルーシュ…きっと、逢えるさ。彼だってそれを望んでいるはずだ」
「そう、ですね……ありがとう、ライさん」
「お礼なんて。ナナリーが悲しそうだと、僕も悲しくなるから」
「優しいんですね」


 ――だいじょうぶ。きっとまた、逢える。逢わせてあげたい。


(スザク…君はいったい、何を考えているんだ…。)


――永遠に、君想う。その心に限りはなく。



[end]





[2015.09.28 加筆修正]

R2 TURN5の視聴後に書いたものです。

原作ではロロたんの粋な計らいでちゃんと会話できましたが、
ほんとうにこの頃のスザクはいい性格してる……(^p^)
ライさんは友情出演。
スザクとルルーシュはともかく、
ナナリーに味方がいないのは可哀想やろ!ということで。